台風とインディ・ジョーンズ

 

 初めて金曜ロードショーで『インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説』を見たのはものすごい台風の夜だった。Wikipediaで調べてみると地上波初放送が1987(昭和62)年の10月16日で、翌17日未明にその年の台風19号が高知県へ上陸しており、ちょうど金曜ロードショーの放送時間帯あたり、近畿地方は台風の右半円に入りつつあったと思われ、猛烈な風雨で家がミシミシきしむ音といつ停電してもおかしくない恐怖におびえながら、そこから目をそらすように映画に没入していたことを記憶している。

 

 さいわい停電はなかったものの、放送中も断続的に入る気象速報のチャイムとテロップが映画の内容以上に緊迫感をあおり、このときのビデオ録画を何十回と見返したため、以降のテレビ放送では特定の部分で気象速報の音が鳴らないと逆に不自然さを感じるようになってしまった。ぼくの魔宮の伝説はウィリーの悲鳴と気象速報のけたたましい響きである。

 

 よく見るとガバガバでグダグダな作品であり、あの小さな貯水槽のどこにダム決壊レベルの量の水が入っていたんだとか、インディ達よりかなり早く宮殿を脱出した子供たちがなぜ遅れて村に着くんだとか、色々ありますがそんなこんなも映像優先というか持ち前の画力(えぢから)で気にならなくさせるスピルバーグの才能に、今夜の放送終了後も結局「やっぱりおもしろかったな」と感じてしまうのでありましょう。

 

 ゴムボートが飛行機から着地するまでをずっとワンカットで撮ってるのと、吊り橋が落ちるところのシーンは今見てもすごいな〜と思う。あとオープニングのウィリーの歌も好き。