久しぶりに見たホーム・アローンが面白かった話

年末になると『ホーム・アローン』が放送されて、去年も「平成も終わるというのにホーム・アローンて」と思いながら見てたら、子供のときとは違う視点ですごく面白かったんですよ。

 

自分が大人になったから登場人物の親たちの気持ちになって見られた……というのとは少し違って、むかし見た記憶だとこの映画はなんといっても泥棒退治がメインディッシュであり、その他の場面の印象は薄かったんですけど、改めて見直すと一連の泥棒撃退シーンは最後のデザートくらいの添え方で、それ以上に母親と息子の心情描写にしっかりと尺をとっていたことに気づかされました。

 

映画の序盤、主人公ケビンの周りにいる大人たちは揃いも揃ってろくでもない態度の連中ばかりで、無関心な父親に無神経な親戚たち、そして本当はケビンを深く愛しながらけんもほろろな接し方で結果的に息子を置き去りにしてしまう母親。これらろくでもないオンパレードの面々が見せる振る舞いの数々に、映画を見ている我々はフツフツと怒りを蓄積していくわけですが、クリス・コロンバス監督はその観客全員の抱く怒りが父親でも親戚でもなく、あの母親に集中して向かうよう絶妙に映画をコントロールしてるんですよ。

 

だからこそ、飛び立ってしまった飛行機の中で母親が「ケビン!」と叫ぶ瞬間、我々は「やっと気づいたかこのバーカ!」とそれまでの鬱憤を晴らすことができるようになっている。淀川さんじゃなくても「あんた、うまいなぁ~!」と監督に拍手したくなります。

 

怖い人だと思ってたら実は心のあたたかい隣人との交流もシリーズの定番で、最後におじいさんが娘と抱き合う場面など、自分ももうトシなので涙腺が決壊してしまいました。

 

色々なドタバタがあって最後はハッピーエンド、ほんとにいい映画だと思います。ぼくに子供はいませんが、クリスマスに親子で見ると子供はワクワクし、親はホロリで最高に素敵じゃないですかね。『ダイ・ハード』はもう年齢的にしんどくなってきました。面白いけど。

 

で、きのう初めて見た『3』も面白かったです。子役が交代して、泥棒たちも薄汚い風采だった前2作からそれこそ『ダイ・ハード』に出てくるようなスタイリッシュ犯罪者集団になりました。もちろんスタイリッシュなのは最初だけで、終盤は気持ちがいいくらい次から次へと主人公が仕掛けた罠にかかってコントのようなひどい目に合い、最後は水疱瘡までもらうという愛すべきまぬけっぷり。小悪党はいても極悪人はいない。犬もハムスターもインコも可愛い。世界がもっとこういう優しさに満ちていたらいいなと思わせてくれました。ちょっと早いけどメリークリスマス。